働かせる
2019.9.19

収入が増えると教育費支援が受けられないジレンマ。高所得者は教育資金をどうやってつくるべき?

(写真=ra2studio/Shutterstock.com)
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2020年4月から、高校生・大学生などへの新たな教育支援制度がスタートします。ただし、この支援は低所得者および一般所得者向けの制度で、高所得者は対象外です。高所得者は自力で資金を用意しなくてはなりませんが、労働収入にこだわらなければ楽に用意することも可能です。

収入が増えると教育費サポートがなくなるジレンマ

(写真=Monkey Business Images/Shutterstock.com)
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子どもの教育資金をどう捻出するか? 子どもを持つ親であれば、誰もが持つ共通の悩みでしょう。自分の収入アップや、共働きで教育費を何とかしたいと考える方も多いと思います。しかし、労働による収入アップだけを考えると、あるジレンマが生じます。

そのジレンマとは、収入がアップするほど、教育費に対する公的サポートがなくなることです。場合によっては、収入を増やさない方が楽だった……というケースもあり得ます。

国や地方自治体では、子育て支援策の一環として、さまざまな教育支援制度を実施していますが、税金で実施されるこれらの支援策には「所得制限」があります。2020年から新制度が実施される「高校就学支援金」と「大学無償化」などの政策は、高年収世帯になるとサポートがほとんどなくなってしまうのです。

2020年4月時点での高校・大学などの教育費支援制度

2020年4月1日時点で予定されている、高校と大学に関する支援策は以下のような内容です。

・「高等学校等就学支援金」
年収約910万円未満の世帯が対象(※)。年間支給額は、国公立高校が約12万円、私立高校が約12万~30万円。

・「高校生等奨学給付金」
住民税非課税世帯(年収約270万円未満)が対象。年間支給額は約3万~14万円。

※高等学校等就学支援金は910万円未満でも収入によって支給額が変わります。
※上記は、両親・高校生・中学生の4人家族で両親の一方が働いている場合の年収目安です。

・「高等教育の修学支援新制度」※高等教育とは、大学・短期大学・専門学校などのことです。
住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯(※)が対象。支給額は「授業料等減免」が最も多い普通私立大学の場合で約70万円(初年度は入学金約26万円を別途支給)。「給付型奨学金」が最も多い私立の大学・短期大学・専門学校の自宅外生で約91万円。

※年収約270万~約380万円世帯のこと。

教育費支援を受けられる世帯にはどれくらい支給される?

(写真=Atstock Productions/Shutterstock.com)
(写真=Atstock Productions/Shutterstock.com)

この制度を利用した世帯の高校・大学を合わせた支給額の例は、以下のようになります。

【支給額の例】※公立高校、私立大学の場合
・高校生のとき(公立):月々9,900円×12ヵ月×3年間=約36万円
・大学生のとき(私立):入学金約26万円+約280万円(年間約70万円×4年間)=約306万円
総計約342万円

上記は子ども1人当たりの支給額です。子どもの人数が増えれば、支給世帯と高所得世帯の不公平感はさらに拡大します。

高所得世帯は教育資金を資産運用で用意するのも一案

このような状況の中、労働収入だけにこだわれば、高所得者は教育費で不利になります。支援策の恩恵にあずかることができない高所得層の方は、工夫して教育資金をカバーしていくしかありません。

選択肢の一つとして考えたいのが、資産運用です。投資には年収による有利・不利はなく、一律約20%の課税でフェアな世界です。株式投資や投資信託であれば、利益に対する税率は20.315%。10万円の利益でも、1億円の利益でも約20%で同じです。

NISAを利用すると、さらに教育資金を用意しやすく

とはいえ、教育資金を少しでも多く用意したい方にとっては、約20%の税金ももったいないでしょう。そこで利用したいのがNISA(少額投資非課税制度)です。この制度は、年間120万円までの投資から生じる売却益や配当金が全て非課税になる有利な制度(※)で、多くの投資家が利用しています。年間の投資額上限が決まっているため、資産の一部を運用したい方に最適です。

※通常NISAの場合、最長5年間

一点、注意したいのは、配当金を非課税にするには「株式数比例配分方式」を選択する必要があるということです。この方式を利用すると、配当金は証券会社の口座に振り込まれ、元本にプールされますので、そのまま次の投資資金に充てることができます。これを選択せずに、郵便局や銀行口座で受け取ると、源泉徴収によって課税されてしまうので要注意です。

では、配当利回り5%以上の株式を選んで、毎年120万円をNISA口座で5年間複利運用した場合の、配当収入をシミュレーションしてみましょう。

・1年目 120万円×5%=6万円
・2年目 246万円×5%=12万3,000円
・3年目 378万3,000円×5%=18万9,150円
・4年目 517万2,150円×5%=25万8,608円
・5年目 663万758円×5%=33万1,538円
5年間の総配当収入=96万2,296円
※上記はあくまでも運用の一例です。

 

売却益を狙って過剰なリスクを負わなくても、堅実な配当収入で5年間に100万円近い収入を得ることが可能です。一生懸命に働いて節約し、預貯金するのも良いですが、教育資金など長期で必要なお金を、リスクの少ない堅実な資産運用で形成していくことも選択の一つです。

ただし、投資には元本割れのリスクもあります。より堅実に運用するには、教育資金の全額ではなく、一部を投資に回し、貯蓄ベースにするのが賢明です。

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