特集
2019.8.16

FP黒松雄平氏「今、日本では凄い勢いでインフレが進んでいる」 超インフレ時代を不動産投資で勝ち抜く(前篇)

(写真=Braight Lab編集部)
(写真=Braight Lab編集部)
インフレ時代の資産形成をテーマにした本の著者としても知られるファイナンシャルプランナーの黒松雄平氏。日本の金融政策の流れと不動産市場の関連を分かりやすくレクチャーしてくれます。

※本記事は2019年6月9日に開催された「名古屋 日本経済の未来と不動産投資」イベントの黒松雄平氏の講演のダイジェスト版です。

資産形成を成功させるには政策を理解すること

現在の日本では実際に長期的なインフレの流れが続いている。このインフレの構造を理解しないと、資産形成はうまくいきません。ですから、投資をされる方はまずはこの国の政策を理解することがとても大事です。

安倍さんは、大きく「金融政策」と「財政政策」でインフレ政策進めています。まず金融政策から見ていきましょう。

まず、2013年に日銀の黒田総裁が世界中に向けて「2年間でマネタリーベースを2倍にする」と発信しました。マネタリーベースというのは私たちが持っているお金、そして、銀行や信用金庫など各金融機関が保有している日銀の当座預金の保有額の合計です。このマネタリーベースがこの黒田発言の後、どういう形で推移していくのか見ていきましょう。

世の中のお金の流通量が増え、貨幣価値が急落している

黒田総裁のマネタリーベース2倍発言の直前からほぼ2年後には、実際にマネタリーベースは倍になっています。

マネタリーベースに関しては、さらにその後増加していて、2019年初頭くらいには504兆円まで膨らんでいます。つまり、マネタリーベースが約370兆円も増えている。では市場に出回ったお札の量はどうかというと、82兆円から110兆円と約35%増えています。

ということは今から6年前に、貯金が1,000万円だった方は1,350万円、1億円だった方は1億3,500万円になっていないと平均値に追いついていないということになる。つまり、銀行にお金を預けていると、額面は担保されているかもしれませんが、価値自体は担保されていないということになります。

2014年発表の金融緩和策は不動産にとって追い風だった

そして1年半後、今度は何をしたかというと、日銀がさらに大規模な金融緩和を発表しました。2014年の追加の金融緩和のテーマは大きく4つあります。

ひとつ目は、マネタリーベースをさらに拡大させる、つまり、お金の価値をさらに下げますよということ。

2つ目は、国債の買い入れ残高を増やすと発表した。日銀がマーケットから国債を吸い上げていくと、金融機関の買う国債がなくなってくるわけです。

そうすると、高値でもいいから買いたいということになり、国債の金利が下がる現象が起きる。これは単に金利が下がるということではないんです。10年もの国債に日銀が手を出すということは、不動産の貸出金利が下がるということとなんです。

3つ目は、ETF(上場投資信託) の買い入れ金額を増やすことです。もともと1兆円買うと言っていたものが3兆円になり、現状は6兆円買っているんです。政府と日銀は互いに独立していますが、日銀の55%の株式を政府が保有している。日銀は事実上、政府の子会社なんです。政府の子会社が株を買い漁っているということは、結局、政府が株を買い漁っているのと一緒なんです。

金融緩和のテーマの4つ目は、J-REIT(リート)を年間300億円から900億円買うと言って、不動産価格を一気に上げました。政府は不動産をたくさん所有していますので、自分たちのポートフォリオをよくするために不動産価格を上げたいわけです。これらの政策の意味を分かっていれば、「不動産は買い」と判断できます。

マイナス金利が不動産市場に有利に働いた

さらに日銀が追加政策を打ち出します。今度は2016年1月にマイナス金利を導入してきたんですね。2016年のマイナス金利が始まった当初を見ていただくと、この金融政策で日銀の当座預金は47兆円から253兆円と5倍以上に急増しています。

この状況を見た黒田さんは、もっとアクティブな融資をしてください。それが出来ないのであれば、今0.1%払っている金利を逆回転させますよといったことを金融界に言ったわけです。

これにより、金融機関は、積極的に融資しなければならないという状況になった。結果、金融機関は担保がとれる不動産市場に積極融資する構図になります。金融機関の融資が出やすいと思ったら、余計に不動産価格が上がりやすい状態になり、不動産への融資額がバブル期超えの状態になるわけです。ただ、これはマイナス金利が始まった瞬間に当たり前という話なんですね。そういう金融政策をやっているわけですから。

所得増により6年間でお金の価値が約13%切り下げられている

インフレ政策で、政府が「金融政策」とともに取り組んでいるのが「財政政策」です。この目玉として、安倍さんは「平均所得を150万円上げます」と言っています。平均所得が150万円上がるということが何を示しているかというと、国民が今まで溜め込んできたお金を強制的に30%切り下げるということです。

これに対して経団連は「しっかり賃金をあげていきましょう」となった。その結果、実際どれくらい賃金が上がったかというと、2014年から2019年まで年間2%以上、上がっています。

結果として6年間トータルで平均約13%上がったということは、逆に6年間で皆さんのお金の価値が約13%切り下げられているともいえます。問題は中小企業です。中小企業に対して給料上げてくださいと政府が言っても上げてくれない。そのため、最低賃金の時給を引き上げたわけです。

いずれにしてもこういった流れの中で、激しい物価上昇は必ずやってきます。実際に、送料も上がっているし、人件費も上がっている。さまざまなコストが上がってきているわけです。

いずれにしても、インフレが確実に進んでいるということは皆さんにしっかり認識していただきたい。日本のインフレは「金融政策でインフレを起こす」「財政政策でインフレを起こす」この両建てできていることを記憶にとどめておいてください。

※本記事は2019年6月9日に開催された「名古屋 日本経済の未来と不動産投資」イベントのダイジェスト版です。
 

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